ご挨拶
この度、第24回日本下肢不全穿通枝研究会(JIPV)を開催いたします。第45回⽇本静脈学会総会の分科会 としての同時開催です。昨年までは 内視鏡下静脈瘤治療研究会(JSEPS)として開催されてきました。内視鏡下筋膜下筋膜下穿通枝切離術(SEPS)を中心に議論されてきました。昨今、IPV治療はレーザー焼灼含め治療法が変遷してきており、本年より会の名称を変更しました。したがって今回がJIPVとしては初となります。テーマは「不全穿通枝診療の新たな夜明け」てす。名称変更に伴う意思表明と受け取ってください。ポスター作製に際して私が撮影した日の出のいい写真(北海道雄武町、日の出岬で撮影:旭川から車で約2時間半)があったのでそれを使いたかったというのが実情です。
今まで、JSEPSは参加費を徴収しておりました。今回、より多くの方が気軽に参加し、議論に加わっていただけるよう、参加費無料としました。是非とも参加いただき、新しい穿通枝診療のあり方を皆様と共に考えることができればと考えます。ご協賛いただいた企業、サポートいただいた第45回静脈学会総会事務局の皆様に厚く御礼申し上げます。
第24回日本下肢不全穿通枝研究会 当番幹事
松崎賢司(NTT東日本札幌病院心臓血管外科)

ご案内
会 期:2026年7⽉17⽇(⽊)14時10分〜17時40分
会 場:アートホテル旭川(第45回⽇本静脈学会総会 E会場)
会 費:無料です。参加者は受付でご記名をお願いします。
演者へのご案内
Ⅰ.発表時間
基調講演は発表時間15分、討論5分。一般演題1は発表+討論で15分。そのほかは 発表+討論で10分です。
Ⅱ.PC発表データ受付
開始30分前までに、静脈学会総会PC受付にてデータ受付を済ませて下さい。

お問い合わせ: 第24回日本下肢不全穿通枝研究会 事務局
NTT東日本札幌病院心臓血管外科 松崎賢司 Tel 011-623-7000,
E mail:kmatsuzaki@east.ntt.co.jp
主催:日本下肢不全穿通枝研究会(JIPV) http://jseps.sakura.ne.jp/db

第24回日本下肢不全穿通枝研究会(JIPV)プログラム
14:10~14:15 
当番幹事挨拶: NTT東日本札幌病院心臓血管外科 松崎賢司
新会長挨拶:川崎医科大学心臓血管外科 田淵 篤
14:15~14:20 写真撮影
14:20~14:40 
基調講演 座長 NTT東日本札幌病院心臓血管外科 松崎賢司
不全穿通枝に対する治療戦略の最前線:PAPSとCAPEの比較と適応評価
西の京病院血管外科センター 今井崇裕
14:45~15:45(各15分)
一般演題1 座長 NTT東日本札幌病院心臓血管外科 松崎賢司
不全穿通枝の治療選択肢
松阪おおたクリニック   草川 均
当院における下肢静脈瘤治療成績
函館中央病院 心臓血管外科 村瀬亮太
診断に難渋した下肢の静脈瘤外来の患者
福岡和白病院 血管外科・血管内治療部 手島英一
SEPSの普及を目指した下肢穿通枝モデルの作成
洛和会音羽病院 下肢静脈治療センター 武田亮二
15:50~16:10 
特別企画 座長  川崎医科大学 心臓血管外科 田淵 篤
伊從敬二先生を偲んで 
埼玉医科大学病院 血管外科 松本春信
八杉巧先生を偲んで
妹尾病院 血管外科 春田直樹
16:15~16:55
一般演題2(各10分):座長 川崎医科大学 心臓血管外科 田淵 篤
下肢静脈瘤血管内塞栓術後にアレルギー反応で長期ステロイド投与を行った1例
西宮渡辺心臓脳血管センター 畑田充俊
就労時間軽減が有効と考えられた静脈瘤術後下腿潰瘍の3例
藤田医科大学ばんたね病院 外科 永田英俊 
穿通枝逆流を伴った重症うっ滞性潰瘍に対し、transpassing法でCACを行い良好に治癒した一例
市立函館病院 心臓血管外科 眞岸孝行
下腿microAVFを伴う皮膚障害に対してエコーガイドTLAを施行した1例
NTT東日本札幌病院心臓血管外科 松崎賢司

17:00~17:15 座長 藤田医科大学ばんたね病院 外科 永田英俊
「下肢静脈瘤重症例に対する不全穿通枝治療の多施設共同前向きレジストリー研究」の進歩状況
川崎医科大学 心臓血管外科 田淵 篤

17:15~世話人会 司会NTT東日本札幌病院心臓血管外科 松崎賢司
17:40~閉会

不全穿通枝に対する治療戦略の最前線:PAPSとCAPEの比較と適応評価
Cutting-edge treatment strategies for incompetent perforator veins: comparison of PAPS and CAPE and evaluation of indications

西の京病院血管外科センター 今井崇裕

慢性静脈疾患に関連した不全穿通枝(incompetent perforator veins, IPV)の治療が注目されている。Society for Vascular Surgery (SVS)およびAmerican Venous Forum (AVF)の静脈性潰瘍管理ガイドラインにおいて、治療適応は以下のように定義されている。「皮膚病変(CEAP分類C5–6)を有する」、「直径が3.5 mm以上」、「500 msを超える逆流時間」、「臨床的意義のある解剖学的位置に存在する」(O’Donnell TF, Passman MA, Marston WA, et al. J Vasc Surg 2014; 60: 3S–59S)。
当院ではIPVに対して、PAPS(Perforator Ablation Procedures)とCAPE(Cyanoacrylate Adhesive Perforator Embolization)の2つの治療を行っており、症例に合わせて術式を選択している。
PAPSの主な利点は以下の通りである。「血管径に応じて出力調整が可能」、「術後の皮膚変形が少なく、自然な外観を保てる」。主な欠点としては以下が挙げられる。「神経障害のリスク」、「術後疼痛が強い」、「皮膚直下に位置するIPVへの施術が困難」などである。一方、CAPEの利点は「神経損傷のリスクがない」、「術後の疼痛が少ない」、「手技が容易」など、欠点は「太いIPVには不向き」、「感染症の懸念」などである。2009年~2025年までの報告によると、閉塞率はPAPSが65–95%、CAPEが76–96%とされている。主な合併症として、PAPSでは神経障害や皮膚熱傷、CAPEでは表在性静脈炎および感染症などである。
本報告では、当院におけるIPVに対するPAPSおよびCAPEの治療経験を通じて、手技上の工夫および成績を報告し、臨床的意義を検討することを目的とする。

 不全穿通枝の治療選択肢
                   松阪おおたクリニック    草川 均

 下肢静脈瘤治療を行っていると、必ず治療を必要とする不全穿通枝(IPV)に遭遇する。
 IPVを治療する場合には、直接切離(DR)、UGFS(エコーガイド下フォーム硬化)、SEPS、PAPs(経皮的焼灼術)、CAPE(シアノアクリレート穿通枝塞栓)の治療選択肢がある。どれを選択するかについては、保険診療かどうか、また併施治療をどのように行うか、病院かクリニックかなどの要因によって左右されることが多い。
 当施設で上記選択肢が出そろった2022年10月以降2024年までの下肢静脈瘤手術688肢のうち、IPVに対する処置を行ったものは52例53肢53本であった。治療の内訳は、DR 3本、UGFS 0本、SEPS 0本、PAPs 38本、CAPE 12本であった。各治療の閉塞率はDR 3/3 (100%)、PAPs 35/38 (92%)、CAPE 8/12 (67%)であった。DRの1本にはわずかな筋膜外スタンプが遺残した。PAPs非閉塞3本のうち、1本は逆流消失、2本では術前の逆流が遺残し経過観察している。CAPE非閉塞4本のうち、2本は逆流消失、1本では術前の逆流がかなり減少も遺残し経過観察、1本では術直後わずかだった逆流が経過観察中悪化し、症状があるため、再グルー注入を行い閉塞した。

当院における下肢静脈瘤治療成績

函館中央病院 心臓血管外科
村瀬亮太 布施川真哲 吉田俊人 本橋雅壽

当院は道南における心臓血管外科・皮膚科・形成外科を標榜している総合病院であり、うっ滞性皮膚炎による下腿潰瘍の症例を潜在的に多く抱えていた。当科では2023年1月より下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術を導入し、下肢静脈瘤治療を積極的に行い始めた。そこでこれまでの静脈瘤治療経験を検討し、潰瘍の有無による患者背景や術式の違いを検討した。
症例は2023年1月から2025年3月までに行った下肢静脈瘤への外科的治療症例全105肢を後方視的に検討した。症例群の平均年齢は71.5±11.2歳であった。CEAP分類に基づく臨床(C)分類ではC2-4の症例(非潰瘍群)が90例(85.7%)、C5-6の症例(潰瘍群)が15例(14.3%)であった。解析はStudentのt検定を行った。
非潰瘍群と潰瘍群の患者背景の比較では、潰瘍群で平均年齢が有意に高かった(70.7±11.3 vs 76.5±9.4歳, p=0.03)。性別には差は認めなかった(男性28 vs 40%, p=0.17)。術式で比較検討すると、GSVおよびSSVへの処置の割合に関しては有意な差は認めなかった( GSV:82.2 vs 86.7%, p=0.34、SSV:25.6 vs 6.7%, p=0.05)。一方、不全穿通枝の処置に関しては潰瘍群で有意に多かった(28.9 vs 53.3%, p=0.03)。また瘤切除(stab avulsion法)に関しては非潰瘍群で有意に多かった(42.2 vs 13.3%, p=0.02)。潰瘍群全15例のうち、14例(93.3%)の症例で潰瘍は治癒し、現在まで再発なく経過している。1例(6.7%)のみ潰瘍が残存している症例がいるが、この症例はGSVの穿刺が困難で高位結紮のみに切り替えた症例であった。当院では静脈瘤治療開始当初は、不全穿通枝の処理はすべて皮膚小切開の上での結紮術を施行していたが、2024年3月より穿刺による硬化療法(0.5%ポリドカスクレロール)に移行した。これは術後非潰瘍群の1例で皮膚切開部の疼痛残存、潰瘍群の1例で創離開が起きたための移行であったが、硬化療法を導入してからは穿刺部の合併症はなく経過している。
当院の静脈瘤治療は始まって間もない段階ではあるが、特に潰瘍症例での短期治療成績は良好であったと言える。

診断に難渋した下肢の静脈瘤外来の患者

福岡和白病院 血管外科・血管内治療部 手島英一

下肢静脈瘤外来には典型的な静脈瘤のみでなく、下肢痛、浮腫、皮疹など下肢に症状のある患者が受診する。診察は問診、視診、触診、エコーを第一とした画像所見から開始され、トレーニングを受けた医師であれば問診と指針である程度疾患を絞ることが可能である。
静脈疾患以外はいわゆる廃用性浮腫、脊柱管狭窄性の患者が多いが、稀に画像診断では鑑別が困難な症例が来院する。外来にて診断が困難であった症例を供覧する。
1、 6歳女性、生後に母斑を認めていたが複数回のレーザーにて治療を行った。数ヶ月前より足の浮腫がありよく転ぶようになった。
2、 60歳代女性、Rutherford 5のLEADにてdistal bypassが施行された。その後、黒色の色素沈着を認めた。
3、 80歳代男性、1ヶ月前から片足の下腿外側に暗赤色の色素沈着と皮膚潰瘍を認めた。
上記症例を含め診断に難渋した症例を提示する。

            


SEPSの普及を目指した下肢穿通枝モデルの作成
洛和会音羽病院 下肢静脈治療センター 武田亮二

【はじめに】内視鏡下筋膜下穿通枝手術(以下SEPS)は鬱脈性潰瘍に対する有効な手術であるが普及していない。生理的なスペースでない筋膜下にワーキングスペースを作ることがSEPS導入の困難さである。SEPSの普及のためにドライラボ用模型を作成したので報告する。【模型】皮膚、皮下脂肪、筋膜、筋肉の5層から構成され、質感が生体に近いように工夫し初期のモデルに穿通枝は配置できなかったが、改良により穿通枝を筋膜下に位置させることができた。【手術操作】実際の手術とライラボ手術で手術操作比較した。皮膚切開とポート挿入は模型の方が容易だったが、筋膜下の剥離操作は生体に近く、十分手術模型として使用できる仕上がりだった。穿通枝血管をリアルに再現することが課題である。【結語】静脈性潰瘍も血管内治療で治療されることも増えているが、責任不全穿通枝が潰瘍底にある場合や皮膚硬化の強い部位では、血管内治療が困難な症例もある。SEPSの灯を消さないように模型作成を継続させたい。

伊從敬二先生を偲んで
埼玉医科大学病院 血管外科 松本春信

 2025年1月19日 伊從敬二先生が急逝されました。伊從先生は、山梨県の末梢血管診療を支えながら、学会活動にも意欲的で、諸学会の評議員を兼任し、本研究会においても当番世話人として2度開催されるなど、臨床・学術面で広くご活躍されました。先生は私が山梨医大第2外科入局当時の指導医であり、研修医時代から、時に厳しく、そして優しくご指導いただきました。その医師としての背中は、私が血管外科医を志すにあたり道標となる存在でした。年末にお電話をいただき談笑したばかりでしたので、急逝されたことが今もまだ信じられない気持ちでおります。昨年の脈管学会が直接お会いした最後となりましたが、あの周囲を包み込むような笑顔が忘れられません。伊從先生に心より感謝申し上げるとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。

伊從 敬二 先生
1989年 山梨医科大学(現山梨大学)医学部卒業
同年 山梨医科大学 第2外科入局
大学病院ならびに関連病院で外科全般を修練したのち、血管外科を専攻
1999年 埼玉医科大学総合医療センター 外科(血管外科)
2002年 山梨厚生病院 心臓血管外科医長
2018年 第17回内視鏡下静脈疾患治療研究会 当番世話人
2024年 第23回内視鏡下静脈疾患治療研究会 当番世話人
2025年1月19日 逝去(享年61歳)

就労時間軽減が有効と考えられた静脈瘤術後下腿潰瘍の3例
藤田医科大学ばんたね病院 外科                                   永田英俊 近藤ゆか 谷大輝 堀口和真 国村祥樹 東口貴彦 多代尚広           小池大助 志村正博 加藤宏之 伊東昌広 加藤悠太郎 花井恒一 堀口明彦

【症例1】51歳、男性。職業:調理業。BMI;31.7 既往歴:高血圧 病歴:4年4か月前に左小伏在静脈瘤(C6)で LSV-RFA+瘤郭清。潰瘍治癒し終診。今回6か月前からの左下腿外側潰瘍(5.5×6.0cm)で再受診。圧迫療法(弾性ストッキング(ES)classⅡ)と勤務時間調整による就労形態変更を3か月施行したところ潰瘍は治癒傾向となった。【症例2】66歳、男性。職業:調理業 既往歴:30歳時IVCから腸骨静脈血栓閉塞症(ベーチェット病:べ病)、BMI;30.0 病歴:58歳時右GSV型静脈瘤(C6)に対しRFA施行 潰瘍はほぼ著明に縮小するが再燃を繰り返し軟膏、ステロイド内服増減を行い 圧迫もcl-Ⅱを使用したが、7年6か月治癒しなかった。しかし定年退職したところ潰瘍は完全上皮化した。【症例3】66歳、男性。職業:調理業。BMI;32.3 既往歴:パーキンソン病 3年前 両GSV;EVLA 病歴:右内果部潰瘍で受診。下腿内側にIPVを認め直接結紮切離や軟膏など処置するも1年間改善しなかったが、コロナ休業要請+私的事情で4か月休業したところ潰瘍は治癒した。ESはcl-Ⅱを使用していた。調理業再開したところ潰瘍再燃・増悪した。【まとめ】3例は、USで深部静脈不全はなく、静脈うっ滞潰瘍かは不明であるが、下腿組織圧上昇の関与が示唆され、立位就業時間の軽減が有効であったと考えられた。

穿通枝逆流を伴った重症うっ滞性潰瘍に対し、transpassing法でCACを行い良好に治癒した一例
市立函館病院 心臓血管外科 眞岸孝行

症例は72歳女性。直腸がん、子宮腫瘍ガス壊疽による敗血症性ショックの診断で入院となった。来院時より両側下腿に、感染、壊疽を伴った重症潰瘍を認めており、穿通枝逆流を伴った下肢静脈瘤が原因のうっ滞性潰瘍と判明した。洗浄、デブリードメントを繰り返し、入院後21日目に子宮全摘、ハルトマン手術を施行、その後より局所陰圧吸引療法(PICO)+弾性包帯に切り替えた。39日目に両側下肢静脈瘤に対し下腿からの塞栓療法を行った。46日目にヒト羊膜使用組織治癒促進用材+PICO+弾性包帯を施行した。PICOを保険診療の最長4週間まで使用した。創部の経過が良いことを確認して90日目にリハビリ転院となった。187日目に当院外来受診し、創部は良好に治癒していた。transpassing法によりCACにより良好に治癒し得た重症うっ滞性潰瘍の一例を経験したので報告する。

下腿microAVFを伴う皮膚障害に対してエコーガイドTLAを施行した1例
NTT東日本札幌病院心臓血管外科 松崎賢司

はじめに:以前にも本会で、microAVFに伴う下腿の皮膚障害に対して経動脈的塞栓やチエナム動注などが報告されていた。またSEPSによる筋膜郭清も筋膜側からの炎症動脈の制御という点では優れていると演者は考えている。今回、外来治療でのエコーガイドTLAで動脈攣縮からmicroAVFの改善をこころみた症例を報告する
症例:83才女性。2015年に右下腿有痛性のC4bで下腿GSVの逆流のみであり。膝部での静脈結紮と末梢硬化療法施行した。一時改善したが2016年に悪化し逆流は認めないものの3mm径の不全穿通枝ありSEPS施行した。穿通枝と下腿表在静脈は閉塞状況が維持され下腿症状も改善したが2023年に再度症状悪化した。エコーでは皮下にAVFと考えられるドップラー像あり、ただし当該の血管径は1mmも無く、直接穿刺は困難と思われ圧迫療法での経過観察とした。症状は改善と悪化を繰り返していた。疼痛強いためエコーガイドTLAでmicroAVFの攣縮による閉塞を試みた。2回の施行で短期効果しかなく1ヶ月時点では同様の血流になっていた。ただし症状の改善は得られ、また何らの合併症もなく施行可能であった。
結語:エコーガイドTLAで一時的なmicroAVFの改善は得られた。動注療法と異なり入院不要で繰り返し施行可能であるが、根治性を高めるには血管に直接針を当てて損傷し出血からの閉塞を誘発するなどさらなる工夫が必要である


「下肢静脈瘤重症例に対する不全穿通枝治療の多施設共同前向きレジストリー研究」の
進歩状況
川崎医科大学 心臓血管外科 田淵 篤

不全穿通枝単独治療の有効性を明らかにするために、日本下肢不全穿通枝研究会主導で下肢静脈瘤重症例に対する不全穿通枝治療の多施設共同前向きレジストリー研究を行っているが、現時点までの進歩状況を報告する。
2025年5月時点において、エントリー症例は6施設から23症例、29肢である。患者平均年齢は66.1歳、男性13例、女性10例で、CEAP臨床分類はC4a:3肢、C4b:7肢、C5:6肢、C6:13肢であった。治療を行った不全穿通枝の本数は平均1.9本(1-6本)であり、術式は経皮的不全穿通枝焼灼術17肢(超音波ガイドフォーム硬化療法3肢併用)、内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術 11肢(超音波ガイドフォーム硬化療法2肢併用)、シアノアクリレート系接着材による血管内治療1肢であった。皮膚症状(病変)は1ヵ月で改善22、不変7、6ヵ月で改善22、不変3、12ヵ月で改善11、不変2であった。活動性潰瘍(n=13)は1ヵ月で治癒3、改善7、不変3、6ヵ月で治癒7、改善3、不変1、術後12ヵ月で治癒7、不変1、再発1であった。rVCSSは術前14.3±4.1、1ヵ月7.6±3.4、6ヵ月4.6±3.4、12ヵ月4.6±3.5、CVICQ-20は術前46.9±18、1ヵ月33.4±14.1、6ヵ月30.5±10.2、12ヵ月29.3±9.2で術後有意に改善を認めた(p<0.01)。6症例が最終観察期間である36ヵ月に到達した。

広告協賛企業
株式会社メディコスヒラタ 様
グンゼメディカル株式会社 様
株式会社 SMC 様
アルケア株式会社 様

日本下肢不全穿通枝研究会開催に際しての
多大なるご厚情に心より感謝申し上げます。
当番幹事 NTT東日本札幌病院心臓血管外科 松崎賢司